2005年08月29日 Monday 更新
先日 NHKテレビ“クローズアップ現代”で「産科医が足りない」というタイトルで、産科医療のかかえる問題についてとり上げていました。
少子化傾向により お産の数は年々減少し、なぜ産科医が足りないのかと疑問に思われる方もおられるでしょう。しかし実際、現在の日本の診療科目の中で産科と小児科の、特に若手医師の不足が著しく、大きな社会問題となっています。その一番の理由は、医療の進歩により、新生児の死亡や 妊産婦の死亡は激減しましたが、そのために一人の妊婦さんが妊娠初期から出産までに診療を受ける時間やその労力が以前の何倍にもなってきたからです。そして、産科医療は重労働だという観念が定着してくると 医学部卒業生で産婦人科を志望する者が減少し、さらに高齢の先生は過重労働から分娩取り扱いを早めにやめる傾向にあります。また近年、お産の結果がよくないと 訴訟になる場合が多く、それをさけるために、分娩取り扱いをやめられる先生もおられ、結果として産婦人科医の中でもお産を取り扱う産科医は減少し、産科医不足の事態に至っています。
私のような個人医院(診療所)の産科医は、ある程度覚悟して開業するわけですし、また仕事の量はある程度調整できますが、病院に勤務する産科医の場合ですと、産婦人科医の不足で定員を減らされますと、全体の仕事量はかわらないのに 定員の減った分だけ仕事がどんと増えていきます。どの先生方も地域医療のために使命感をもって働いておられますが、使命感だけでやっていくには限界にきている地域も多いようです。

次回はこの問題に対する 行政や産婦人科医会の対応策を御紹介したいと思います。

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