2004年11月22日 Monday 更新
中越地震の発生から1ヶ月が経ちました。ようやく最近になって余震も感じられなくなり、このまま終息してくれることを切に願っています。
さて、今回の地震で家を失い、車の中で寝泊りしていた方の中でエコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症)を発症し、命を失った方が何人かおられ、エコノミークラス症候群のおそろしさがクローズアップされました。
エコノミークラス症候群は、車の中や飛行機内(特にエコノミークラス)に長時間座っていることにより、下肢の深部静脈に血栓ができ、これが肺に移動して塞栓症をおこし、時には命をおびやかすこともある疾患です。そして、こういったことは車内や機内だけでなく、病院に入院中の患者さん、特に手術後の患者さんや お産を終えた褥婦さんにおこることがあります。手術を受けた患者さんは、術中及び手術前後に、長期間ベッドの上で安静にしていなければならず、血流が悪くなりやすくなります。さらに、手術の侵襲や感染などで、血管内皮が損傷を受け、血栓をつくりやすくなります。また、妊娠中はふだんより血液が固まりやすい状態となっており、さらに、大きくなった子宮が周囲を圧迫したりして血流が悪くなって、ここに 帝王切開や分娩といった侵襲が加わると、血栓をつくりやすくなります。また、肥満の方はさらにその危険性が増します。
予防法としては、帝王切開の場合は、十分な輸血で脱水をさける。術中より下肢にストッキング及びフットポンプ(間欠的空気マッサージのため)を装着する。また、場合によっては、血液を固まりにくくする薬剤の注射を行っています。
また、皆さんにできることは、肥満が大きな危険因子ですから、妊娠前から肥満にならない様にし、妊娠中は体重増加に気をつけることです。

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