今回のJR福知山線列車事故では、100人以上の方が亡くなられ、負傷者も400人以上に上りました。犠牲者のご冥福をお祈りするとともに、負傷者の一日も早い回復を願っています。 さて、我々が普段従事している医療の場でも、患者さんの安全の確保には万全を期さなければならないのはいうまでもありません。そこで今回の列車事故から得られた教訓を二つあげてみました。
①重大事故はいくつかの小さなミスが重なって起きる。
今回の列車事故の原因としては、スピードの出しすぎ、急ブレーキ、車体の故障の可能性、遅れを 取り戻そうとする気持ちのあせりなどいくつかの点があげれれていますが、いずれも一つだけの要 因では起こりえないといわれています。重大な医療事故も小さなミスの積み重ねからおきるといわ れており、その一つ一つの小さなミスを見逃さずに、小さな芽のうちに摘み取る必要があります。実 際当院でも、普段の業務の中で「ヒヤリ」とした事や「八ッ」とした事をヒヤリ・ハットレポート(インシ デントレポート)として提出してもらい、このレポートを集め事故防止委員会で一つ一つ対策を話し 合っています。今後もさらに徹底してやっていく必要性を感じました。
②重大事故が発生したらそこにはマニュアルなど存在しない。
今回の重大事故が発生した際には、事故列車に同乗していたJRの運転手のとった行動や、その 日、他のJR職員のとった行動(ボーリング大会)について批判があがりました。結局普段から自分 の行動をあまり考えずに、上からの指令あるいはマニュアルに従うだけの行動をとっていると、いざ という時に人間として基本的にやらなければいけない行動を見失ってしまうことになります。
常日頃、上司の指示にしろマニュアルに従うにせよ、そうすべき理由を考え納得した上で自分で責任をもって行動をとりたいものです。